歌を歩く〜風の靴をはいて〜

「風の良寛」 「越後望郷」 「イスタンブール」 「歌を歩く」 「人生の帰り道」 「唄いそびれた夜を探しに」

CD「唄いそびれた夜をさがしに」

100万回生きたねこ 誕生 ドリアン 幸せな愛などない
わが故郷 黒髪ゆらせた風 バンコクの朝 足利
GOOD LUCK 親不知・冬の旅 カウンター・バー 唄いそびれた夜をさがしに

100万回生きたねこ
[原作]佐野洋子・[補作詩・作曲]藤本すすむ

 

100万回生きたねこ あるとき王様のねこだった
王様なんか嫌いだった 戦争ばっかりしていた
ある日ねこは戦争についてゆき 流れ弾に当たって死んだ
王様は大声で泣いた そして城の庭にねこを埋めた
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100万回生きたねこ あるとき泥棒のねこだった
泥棒なんか嫌いだった 夜の街静かに歩いた
泥棒が金庫をこじ開けているうちに ねこは犬に噛み殺された
泥棒は大声で泣いた 夜の街 ねこを抱きながら
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100万回生きたねこ あるときただの野良ねこ
初めて誰のねこでもなく 自分のねこだった
何しろ立派なとらねこで 立派な野良ねこ
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どんな雌ねこも ねこのお嫁さんになりたがった
魚やネズミやマタタビを 差し出すねこもいた
けれど誰よりも自分が 大好きだった
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たった一匹見向きもしない ねこがいた
白く美しい ねこだった
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「俺はサーカスのねこだったこともあるのさ」
クルリ クルリ 宙返り それでもだめ
.
来る日も来る日も 白いねこに会いに行き
「そばにいてもいいだろう」白いねこに聞いた
白いねこはうなづき ずっとそばにいた
.
白いねこは可愛い子ねこ たくさん産んだ
自分のことより 子ねこと白ねこ 大好きになった
100万回死んだことも 忘れていた
.
子ねこたちは大きくなって どこか行った
白いねこは少しばかり おばあさんになった
いつまでも一緒に生きていたかった
.
100万回生きたねこ ある朝白いねこはもう
動かなくなっていた ねこは初めて泣いた
夜になって朝になって 100万回泣いて泣き止んだ
ねこは白いねこの隣で 静かに動かなくなった
.
100万回生きたねこ それからねこはもうけして
生きかえらない 生きかえらない 生きかえらなかった
生きかえらなかった 生きかえらなかった
 
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